20世紀ごろまでは、「デザイン」といえば広告やファッション、工業製品といった領域が花形でした。しかし、昨今は経営、政策、自治体、医療、教育など、これまでデザインとかかわりが薄かった領域においても、かつてないほどデザインへの期待が寄せられています。
そうした背景もあり少しずつ注目が集まりつつあるのが、デザイナーや専門家など限られた領域の人だけでなく、実際の利用者や利害関係者とプロジェクトのなかで積極的にかかわりながらデザインしていく「コ・デザイン」という概念です。
ミミクリデザインの瀧知惠美と小田裕和が主催する、CULTIBASE Lab会員向けの「デザインゼミ」。新年1回目は、2020年12月に刊行された『コ・デザイン ──デザインすることをみんなの手に』の著者で、CULTIBASEでも特集「コ・デザインをめぐる問いかけ」を連載中の専修⼤学ネットワーク情報学部教授︎・上平崇仁さんをゲストにお迎えし、デザインをめぐる探究的な対話を行いました。
テーマは「そこにあること」から始まるデザイン。デザインは、非デザイナーも気軽に楽しんで取り組むことができるものであり、そして私たちが思う以上に、生活や周囲の人たちとのかかわりに大きな影響を与えています。限られた視界の中で計画して、できたものを世に放つのではない、あらゆる物事との「かかわりあい」としてのデザインとは?
ゲスト:上平崇仁
専修⼤学ネットワーク情報学部教授。グラフィックデザイナーを経て、2000年から情報デザインの教育・研究に従事。近年は社会性への視点を強め、デザイナーだけでは⼿に負えない複雑な問題や厄介な問題に対して、⼈々の相互作⽤を活かして⽴ち向かっていくためのCoDesign(協働のデザイン)の仕組みや理論について探求している。15-16年にはコペンハーゲンIT⼤学客員研究員として、北欧の参加型デザインの調査研究に従事。
目次
思考ではなく「行為」を先立たせる。「おいてみること」から始めるデザイン
始まりも終わりもない。あらゆる物事との「かかわりあい」としてのデザイン
変化したあとの結果も含めて「デザイン」と呼ぶ
デザインにおいては「わからなさ」を楽しむことが大切
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